Acronis True Image 2018 長期使用したバックアップ設定を変更した際の異常動作
バックアップ実行回数が1,000回以上に達しているバックアップ設定の内容を変更すると、「Error while parsing script.」というエラーダイアログが表示され、そのまま True Image を終了すると、それ以降 True Image を起動した際にスプラッシュスクリーンが「ユーザー設定を適用しています...」の状態のままフリーズしてしまい、True Image を起動できなくなる。
目次
環境
Acronis True Image 2018 ビルド11530、ビルド15470(2020年11月5日現在最新)
対処
[C:\ProgramData\Acronis\TrueImageHome\Scripts] にある [~.tib.tis] ファイルに各バックアップ設定が記述されているが、この.tisファイル中の [execution_count] を「1」などに変更することで、True Image(TrueImage.exe)起動・バックアップ設定変更・バックアップ実行を問題なく行えるようになった。
対処へと至った理由
最初のエラーダイアログの発生状況を鑑みれば、変更したバックアップ設定に何らかの異常が発生したことは明らかだったため、Sysinternals Process Monitor で True Image 起動からフリーズまでの処理を監視し、バックアップ設定ファイル .tis を特定して、前月のバックアップ済ファイル群の同ファイルと相違点を照合したところ、前月のバックアップ設定ファイルでは [execution_count] が「1009」、異常が発生したバックアップ設定ファイルの [execution_count] は「1,112」と値にコンマがついていることを発見したため、試しにコンマを削除して「1112」としたところ、True Image を正常起動できることがわかった。
しかし、このままバックアップ設定を変更したところ、再び「Error while parsing script.」エラーが発生し、True Image を起動できなくなったため、今度は [execution_count] を「999」とした場合と「1000」とした場合で起動・バックアップ設定変更を試みたところ、「999」では異常なく、「1000」では同様の異常が発生することがわかった。
これにより、バックアップ回数が1,000回以上に達したバックアップの設定を変更した際に、 [execution_count] の値にコンマが混入して異常な構文のバックアップ設定ファイルが保存され、それがTrue Image 起動時やバックアップ設定変更時のバックアップ設定ファイルの解析において障害となるバグと断定した。
任意のウィンドウが常に手前に表示されるようになるツール 『AlwaysOnTop』
常に手前に表示したいウィンドウにフォーカスがある状態で、キーボードのひらがな・カタカナキーを1回押下するか、タスクトレイの本ツールのアイコンをクリックすると、そのウィンドウが常に手前に表示されるようになる、タスクトレイに常駐するツールです。
常に手前に表示の解除は、Ctrl+ひらがな・カタカナキー押下、タスクトレイアイコンクリック、タスクトレイアイコンのコンテキストメニューの一覧クリックなどで行なえます。
【主な機能】
●任意のウィンドウの最前面化とその解除
●本ツールを使って最前面化しているウィンドウの一覧表示
【想定用途】
●用途1
リモートデスクトップなどでリモートPCが全画面表示になっている状態のままでも、あらかじめローカルPCのメディアプレーヤなどを本ツールで最前面化しておけば、リモート画面のままローカルPCのソフトを操作できる。
●用途2
ペイントソフトを全画面表示にしたままで、ちょっと資料画像を参考に描きたいときに、画像ビューアを本ツールで最前面化すれば、全画面表示のペイントソフトにフォーカスが戻っても画像ビューアを表示したまま作業できる。
●用途3
片方が全画面表示になっているウィンドウ間で、何らかの設定値を延々とコピペする作業の際に、本ツールでコピー元を最前面化しておけば、いちいちウィンドウ切替操作をAlt+Tabなどで行わなくても、最前面化したコピー元ウィンドウを迅速に直接マウスクリックでフォーカスして作業できる。
Version 1.2 2020/09/18
https://firestorage.com/download/e07923cd066baafb805602cf9b7fcb690a90f217
電子書籍アプリのOSバージョン要件
各種電子書籍アプリが要求するOSバージョンを、それぞれの公式ページやストア情報からまとめた。
最も厳しいものは、AndroidがBOOK WALKERと紀伊國屋書店KinoppyのAndroid6以上要求。
iOS系はhontoがiOS12以上要求。
「~以上」「~以降」と表現が入り混じっているが、参考URL記述をそのまま引用している。備考についても、参考URL記述による。
2020年10月1日現在
特定のマザーボードならびにグラフィックボードの組み合わせにおいて、GPU負荷発生時のみ強制リセットがかかる異常について
余剰となっていたグラフィックボードをサブPCへ載せたところ、3Dゲームなどで最大負荷をかけ始めてから、概ね30分~1時間少々が経過すると勝手にリセットがかかる異常が発生した。最終的にUEFI設定でPCI Expressスロットのリビジョンを指定したところ解決した。
目次
環境
CPU |
Core i3-6100 |
メインメモリ |
DDR3-1600 4GB 2枚計8GB(Kingston KVR16N11S8/4) |
ASRock H110M-DVS/D3 |
|
グラフィックボード |
玄人志向 GF-GTX660-E2GHD/DF/OC |
電源 |
Antec NE650C |
対処
UEFI設定にある、PCI Expressスロットのリビジョン指定を [Auto] から [Gen3] へ固定したところ、異常は発生しなくなった。
異常発生までの流れ
GPUフルロード状態で30分~1時間少々経過 → STOPエラーへ落ちる間もなく、エラーメッセージやログなどなしに突然リセットがかかり、UEFI POST画面から再起動が始まる
動作検証・各部確認結果
同マシンで、GPU負荷がかかっていないか極めて低負荷時の連続稼働(1週間)
→ 異常なし
各部温度
→ 異常なし(室温28℃、CPU中負荷60℃、GPUフル68℃)
異常が発生するまでの動作
→ 正常で性能低下などもなし
同マシンで、OSクリーンインストール環境での動作検証
→ 再発
Memtest結果
→ 異常なし
フルロード時のPCI Express用6ピン電源線電圧
→ 異常なし
グラフィックボード撤去、IGP(HD Graphics 4400)のみ
→ 異常なし
周辺機器を接続しない最小構成
→ 再発
UEFIの温度・ファン制御および過熱時自動シャットダウン設定
→ 問題なし・無効
別マシン(ASRock H81M-HG4)とGF-GTX660-E2GHD/DF/OCでGPUフルロード(2時間、GPU75℃)
→ 異常なし
対処へと至った理由・メカニズム
なし、不明。万策尽きたため、関連する設定を変更した際に動作に変化が発生するか総当たりで検証した。
別マシンの ASRock H81M-HG4 (PCI Express Gen2まで)では PCI Express スロットのリビジョン指定は [Auto] でも異常はなかった。その他のマザーボードでも、リビジョン指定を行わずとも異常を経験したことはない。
一台のWindows PCで複数のペンタブレット・液晶ペンタブレットを共存させ、『Wintab API』でソフトごとに使い分ける方法
※2018年9月24日改訂
記事タイトルと前書きが、記事の目的が伝わりにくいと思われる表現(”Wintab API で無条件にアプリケーションの区別無く、複数のペンタブレット・液晶ペンタブレットを同時に使用できるようになる”と受け取れるような内容)となっていたため訂正しました。
”ペイントソフトで Wintab API による入力を受け付け、無条件に全てのペンタブから入力できるようにする方法”ではありませんのでご注意ください。こちらが目的の場合は、難点(*)がありますが TabletPC API で入力を受け付ければ達成できます。
* 中国メーカ製液タブでジッタが増えて線のよれが増える場合がある
ペンタブレット(板タブ)・液晶ペンタブレット(液タブ、以下特記する必要が無い場合は、総称してペンタブと称します)と言えば、長らく Wacom の独壇場でしたが、近年は UGEE・XP-PEN 系(Artist15.6 や Artist16Pro)、HUION・GAOMON 系(GT-191 や PD1560)、ARTISUL(ARTISUL D16)など様々な中国メーカの安価な製品が選ばれることもあるようで、実際、自分も自室作業用の液タブとして XP-PEN Artist16Pro を購入しました。
しかし中国メーカ製のペンタブは、まだまだ Wacom 系のペンタブと比べて未熟な部分があったり、慣れるまでの間や用途によっては、従来から使用している Wacom の板タブなどを使用したい場面もあると思います。
しかし、ペンタブのドライバを通常の手順でインストールすると、先にインストールされていたペンタブのドライバの一部を上書きしてしまうため、異なるメーカ・世代のペンタブを同時に使用することはできないとされることが多く、実際に試してみると、確かにそのままでは後からインストールしたペンタブしか使用できない場合があります。
本記事では、Windows PCに複数のペンタブレット・液晶ペンタブレットを同時に接続し、ともにペン入力デバイスとして認識されてポインタを動かせるなど最低限動作している状態として共存させ、『Wintab API』によって入力を受け付けるペンタブを、ペイントソフトごとにユーザが選べるようにする方法を説明します。
ようするに、通常はペンタブドライバインストール時に System32・SysWOW64 の Wintab32.dllが 上書きされてしまうため、”Wintab API で入力を受け付ける場合には、どのペイントソフトでも XP-PEN か Wacom のどちらかしか使用できない”といういところを、”Wintab API で入力を受け付けつつも、CLIP STUDIO PAINT では XP-PEN のペンタブを使用し、Photoshop では Wacom のペンタブを使用する”というように、ソフトごとに使用するペンタブをユーザが選べるようにするための方法です。
なお、本記事では、エクスプローラーの設定を変更して拡張子が表示されている前提で、拡張子も含めたファイル名を用いて説明しています。ファイルの拡張子が表示されていない状態(Windows の初期設定)では目的のファイルを探しづらいと思いますので、適宜対処してください。
免責(定番のお約束事)
本記事を参考にした結果発生した何らかの損失・損害については、誰も責任を負いませんので、本記事を参考にした人の責任において対処してください。
目次
- 免責(定番のお約束事)
- 目次
- 前提知識 『Wintab API』と『Tablet PC API』について
- 『Wintab API』で複数のペンタブを同時使用できない理由
- ペイントソフトが Wintab32.dll を探す順番と、それを利用したペンタブ~ペイントソフトの対応付け
- 実践例 2台のペンタブを同時に接続し、異なるペイントソフトで共に『Wintab API』を使用してペンタブを使い分ける
- ペンタブの使い分けをやめるには
- ペンタブドライバ バージョンアップ時の注意点
前提知識 『Wintab API』と『Tablet PC API』について
2018年現在の Windows PC でペンタブを使えるようにする技術(以下 API )には、『Wintab API』と『Tablet PC API』(Windows Ink や Windows APIと表記しているソフトもある)の二種類があり、ペンタブを使って絵を描くためには、ペンタブとペイントソフトの双方で同じAPIに対応している必要があります。以下に各APIの概要を示します。
API名 |
対応ソフト |
対応ペンタブ |
通常手段での複数ペンタブ同時使用 |
Wintab API (こちらが先発) |
Photoshop CS系・CC系 SAI・SAI Ver.2 GIMP 2 MediBang Paint Pro その他ペンタブ対応の古いペイントソフト |
中国メーカ各社 |
不可能 |
Tablet PC API(ソフトによってはWindows Ink、 Windows APIと記載している場合もある) (こちらが後発) |
Photoshop CC系 SAI・SAI Ver.2 MediBang Paint Pro その他概ねWindows Vista~7あたりより後にリリースされたペンタブ対応の新しめのペイントソフト |
中国メーカ各社 |
可能 |
『Wintab API』で複数のペンタブを同時使用できない理由
『Wintab API』を使用するペイントソフトでは、通常ペンタブドライバインストーラによって C:\Windows\System32 フォルダと C:\Windows\SysWOW64 フォルダの両方にインストールされる Wintab32.dll というDLLファイルを使用してペンタブから入力を得ており、このファイルは、ペンタブメーカ各社が自社のペンタブ用に作ったものがインストールされています。
しかし、ペンタブメーカ各社のドライバインストーラは、 System32 フォルダと SysWOW64 フォルダに既に他社製の Wintab32.dll が存在していても、自社ペンタブ用の Wintab32.dll を上書きしてしまうため、『Wintab API』を使用できるペンタブは、あとからドライバをインストールしたペンタブのみとなり、その前にドライバをインストールしていたペンタブでは筆圧感知が機能しないなど正常に動作しなくなります。
ペイントソフトが Wintab32.dll を探す順番と、それを利用したペンタブ~ペイントソフトの対応付け
ペイントソフトはペンタブから入力を得るために、ペイントソフト起動時に Wintab32.dll を PC 内の決まった場所から順番に探すようになっています。前述のペンタブドライバインストーラが、Wintab32.dll をインストールする場所の System32 フォルダ と SysWOW64 フォルダは、そのような決まった場所の一種です。
さて、ペイントソフトが Wintab32.dll を順番に探していく場所にはいくつか候補があって、System32 フォルダ や SysWOW64 フォルダよりも前に探す場所があり、それがペイントソフト自身の実行ファイル(.exe)が存在するフォルダです。
つまり、ペイントソフト自身の実行ファイルが存在するフォルダに Wintab32.dll を配置してあげると、 System32 フォルダや SysWOW64 フォルダにある Wintab32.dll よりも先に読み込むため、そのソフトでは他の場所にある Wintab32.dll は使用しなくなります。
この動作を利用すると、ペイントソフトで使用したいペンタブ用の Wintab32.dll をユーザが選び、手作業でペイントソフトの実行ファイルと同じフォルダへ配置すれば、ペイントソフトで使用するペンタブをユーザが選べるようになります。
実践例 2台のペンタブを同時に接続し、異なるペイントソフトで共に『Wintab API』を使用してペンタブを使い分ける
ここからは、Artist16Pro と One by Wacom を一台のPCへ同時に接続し、両機とも『Wintab API』を使用して、CLIP STUDIO PAINT(64bit 版)では Artist16Pro、Photoshop CS5(32bit 版)では One by Wacom を使い分けられるようにする手順を説明します。CLIP STUDIO PAINT と Photoshop ともに64bit版でも構いませんが、説明の都合上 Photoshop は 32bit 版とします。また、Windows は 64bit 版を想定しています。
ペイントソフト |
使用する |
使用する Wintab32.dll |
Wintab32.dll の |
CLIP STUDIO PAINT(64bit 版) |
XP-PEN |
XP-PENペンタブドライバインストーラによって System32 フォルダへインストールされるもの |
CLIPStudioPaint.exeと同じフォルダ *1 |
Photoshop CS5(32bit 版) |
Photoshop.exeと同じフォルダ *2 |
*1 C:\Program Files\CELSYS\CLIP STUDIO 1.5\CLIP STUDIO PAINT
*2 C:\Program Files (x86)\Adobe\Adobe Photoshop CS5
手順1 Wacom 用の Wintab32.dll を準備する
それぞれのペイントソフトのフォルダに配置する Wintab32.dll を準備します。まずWacomのドライバをインストールしました。
Wintab32.dll は、ペンタブドライバインストーラにてドライバをインストールすると、C:\Windows\System32 フォルダと C:\Windows\SysWOW64 フォルダにインストールされます。この段階では、Wacom 用の Wintab32.dll がインストールされています。
System32 フォルダの Wintab32.dll は 64bit アプリケーション用、SysWOW64 フォルダの Wintab32.dll は 32bit アプリケーション用です。後ほどペイントソフトの種類(64bit か 32bit か)に合わせて選択するので、両方のフォルダの Wintab32.dll を、それぞれを見分けられるようにしてデスクトップなど判りやすい別の場所にコピーします。
手順2 XP-PEN 用の Wintab32.dll を準備する
次に XP-PEN Artist16Pro 用のドライバをインストールしました。
こちらもWacom用と同様に System32 フォルダと SysWOW64 フォルダに、XP-PEN用の Wintab32.dll が上書きされているため、両方のフォルダの Wintab32.dll を、見分けがつくように別の場所へコピーします。
手順3 CLIP STUDIO PAINT(64bit 版) の実行ファイルがあるフォルダに XP-PEN 用の Wintab32.dll の 64bit アプリケーション用をコピーする
CLIP STUDIO PAINT(64bit 版)の実行ファイルは、
C:\Program Files\CELSYS\CLIP STUDIO 1.5\CLIP STUDIO PAINT フォルダにあるため、同フォルダに、System32 フォルダからコピーしておいた XP-PEN 用の Wintab32.dll をコピーします。
手順4 Photoshop CS5(32bit 版) の実行ファイルがあるフォルダに Wacom 用の Wintab32.dll の32bitアプリケーション用をコピーする
Photoshop CS5(32bit 版)の実行ファイルは、
C:\Program Files (x86)\Adobe\Adobe Photoshop CS5 フォルダにあるため、同フォルダに、SysWOW64 フォルダからコピーしておいた Wacom 用の Wintab32.dll をコピーして作業完了です。
作業が終わったら各ペイントソフトを起動して、意図したとおりのペンタブ~ペイントソフトの組み合わせで正常に動作しているか確認してください。
ペンタブの使い分けをやめるには
ペイントソフトの実行ファイルと同じ場所にコピーした Wintab32.dll を削除すれば、そのペイントソフトの次回起動時には System32 フォルダまたは SysWOW64 フォルダの Wintab32.dll を探しに行くように戻ります。
ペンタブドライバ バージョンアップ時の注意点
当然のことですが、ペンタブドライバの新しいバージョンをインストールしても、ユーザが手作業で各ペイントソフトのフォルダへコピーした Wintab32.dll は更新されないため、必要に応じてユーザ自身で差し替えを行ってください。
raytrektab(パソコン)を買った人に、とにかく最初にやってもらいたいこと。気をつけてもらいたいこと。
raytrektabはWindowsパソコンです。
ペイントソフトの設定や作品制作など、やりたいことがあるとは思いますが、そんなことはとりあえず後回しにして、パソコンであるraytrektabを使い始めるにあたり、とにかく最初にやってもらいたいこと(やらないと後々困ったり、面倒くさいことになること)や、気をつけてもらいたいことを列挙します。
以下、特にraytrektabと書く必要がない事柄では、raytrektabのことを単にパソコンと表記します。
免責(定番のお約束事)
本記事を参考にした結果発生した何らかの損失・損害については、誰も責任を負いませんので、本記事を参考にした人の責任において対処してください。
忙しい人向け
目次だけ目を通してもらえばいいと思います。
目次
- 免責(定番のお約束事)
- 忙しい人向け
- 目次
- Windowsが壊れたときに備えて、USBメモリに回復ドライブを作成する
- Windows Updateの手動実行をする
- 重要なデータは常にパソコンの外にも保存する
- よく利用するソフトやデータを、セキュリティソフトの監視から除外する
- 何か操作をしても反応が無いときは、とりあえず十数秒触らずに待つ
- 何時間か使わないときは [シャットダウン] する
- バッテリ残量100%のままでの継続使用や保管は避ける
- カバーをつけたままで本体が過熱しているときに充電しない・カバーをつけない
- 長期間使わないときはバッテリ残量を50%程度にしてから [シャットダウン] する
- 長期間使わずに保管していたときは、バッテリ残量を信用せず、満充電してから使う
- 何か動作がおかしいときは [再起動] する
- 再起動しても動作の異常が収まらないときは、異常があるソフトやデータを、正規の手順に従ってインストールし直す
- ソフトやデータをインストールし直しても異常が収まらないときは、Windowsを初期状態に戻す
- あとがき
Windowsが壊れたときに備えて、USBメモリに回復ドライブを作成する
この作業は、「raytrektabの動作がおかしくなってWindowsを初期化できなくなっても、自分にはよく解らないので、すぐにメーカ修理を利用するつもりだ」という方は飛ばして構いません。逆に、「動作がおかしくなってWindowsを初期化できなくなったら、できる限り自分でなんとかしたい」という方は読んでください。
Windows10では、iOS・Androidのスマートフォン・タブレットと同じように、[設定] から簡単にWindowsを初期状態へ戻すことができますが、Windows自身が破損して初期化に失敗してしまうことが稀にあり、こうなるとメーカ修理を依頼しなければならなくなってしまいます。
購入直後に回復ドライブを作成しておくと、万一、内蔵ストレージのWindowsが壊れて初期化に失敗してしまっても、回復ドライブから購入直後の状態に修復できる場合がありますので、USBメモリに回復ドライブを作成しておくと安心です。
なお、raytrektabにUSBメモリを接続するためには変換ケーブルが必要なので、USBメモリとともに変換ケーブルも用意してください。USBメモリの容量は、自分のraytrektabでは8GBのUSBメモリを使用して作成後の空き領域が1.5GB程度でしたが、必要な容量は環境によって変わるため、回復ドライブ作成画面で求められている容量のUSBメモリを用意してください。
昔ほどではありませんが、いまでもWindows自身が壊れることはわりとあります。Windows XPくらいまではWindowsが壊れることは当たり前で、Windowsが壊れたとしても所詮はソフトウェアなので、パソコンがハード的(機械的)に壊れているのでなければ、リカバリCD・DVDや回復ドライブから綺麗な状態のWindowsを復元することで、パソコンはまた使えるようになります。
Windows Updateの手動実行をする
Windowsでは、弱点や不具合を修正するためのアップデートが、毎月第2または第3火曜日の月例パッチと、その他必要に応じて配信・自動インストールされており、この仕組みをWindows Updateと呼びます。
購入直後・初期化直後・しばらく使用していなかった時のWindowsは、アップデートを大量にインストールしたりメンテナンス処理を行わなければならないため、場合によってはWindows Updateを手動で実行して半日以上のあいだパソコンを起動したまま放っておく必要があります。
Windows Updateを済ませずにいきなりパソコンを使い始めると、使っている裏側で自動的にWindows Updateを始めてしまうため、パソコンの動作が極端に遅くなったり、場合によってはアップデートに失敗して異常が発生してしまうこともあるため、Windows Updateが全て済んでからパソコンを使ってください。
Windows 10のWindows Updateを手動で行う方法
重要なデータは常にパソコンの外にも保存する
Windowsパソコンでは、様々なアプリケーションソフトウェアや周辺機器を自由に使用することができますが、その自由さと引き換えに、Windowsやアプリケーションの不具合によってWindowsを起動できない状態に陥ることがあります。
自力では起動できなくなったパソコンからデータを取り出すには専門知識が必要です。万一パソコンを起動できなくなってもデータを取り出さずに済むよう、重要なデータは日頃からパソコンの外にも保存しましょう。
よく利用するソフトやデータを、セキュリティソフトの監視から除外する
Windowsはその普及率や用途故によくマルウェアに狙われるため、マルウェアによって大切なデータを盗まれたり他人への攻撃に加担しないように、常にセキュリティソフトを動かし続けて監視する必要があります。
raytrektabのように非力なパソコンにとってこの監視動作は時にパソコン全体の動作を遅くしたり、セキュリティソフトによってソフトの動作が停止させられてしまうことがあるため、安全なことが判っているソフトやデータをあらかじめセキュリティソフトの監視対象から除外しておくと、このようなトラブルを避けることができます。
とりあえずCLIP STUDIO PAINTやSAI2などのソフト自体と、そのソフトとともによく利用する素材データなどを監視から除外するとよいでしょう。
図 当方のWindows Defenderの除外設定例(実際の設定は、個々の環境に応じて指定先が異なるため、使用するソフトやデータに合わせて適宜行ってください)
Windows 10のWindows Defenderで特定のファイルやフォルダーをスキャンしないように設定する方法faq.nec-lavie.jp
特定のファイルをスキャン対象から除外する方法(マカフィーリブセーフ)
何か操作をしても反応が無いときは、とりあえず十数秒触らずに待つ
Windowsはユーザが知らないところで様々なメンテナンス処理を自動で実行しており、また、raytrektabのような非力なパソコンでは、一つ一つの処理に時間がかかることがあるため、何か操作しても反応が返ってくるまでに数秒~数十秒かかることがあります。
このような状態の時に、なかなか反応が返ってこないからといって連打しようものなら、処理が溜まってますます動作が遅くなってしまい、場合によってはソフトが異常終了してしまうこともあるため、とりあえず十数秒程度は反応が返ってくるまで待ってください。
[タスク マネージャー] や、パソコンの動作状態を常に表示してくれるソフト類を、日頃からすぐ見られるようにしておくと、このような時に何か処理が行われて待たされているのか、何らかの異常でパソコンが止まってしまったのか、ということをある程度見分けることができます。
Windows 10でタスクマネージャーを表示する方法faq.nec-lavie.jp
何時間か使わないときは [シャットダウン] する
iOS・Androidのスマートフォン・タブレットでは、電源ボタンを1回短押しして待機状態にすると、特に異常が無ければ数日はバッテリ残量が残っていますが、パソコンであるraytrektabは、待機状態のまま1日もすればバッテリ残量が半分程度まで減ってしまいます。
このままさらに待機状態で放置を続けると、バッテリ残量が2%を切った時点で強制的にWindowsが終了される設定になっていますが、うっかり充電を忘れてこのまま長期間放置した場合は、バッテリが過放電となって使用不能に陥る可能性があります。
余計なバッテリ消費を避けるためにも、1日以上使用しない時はWindowsを [シャットダウン] することをおすすめします。シャットダウンできていれば、数日程度放置してもバッテリ残量は通常減りませんし、raytrektabは、シャットダウンしても起動が従来のHDD搭載パソコンよりも速いため、30秒もあれば起動します。
Windows 10でパソコンの電源を切る方法
faq.nec-lavie.jp
バッテリ残量100%のままでの継続使用や保管は避ける
raytrektabや多くのノートパソコン・スマートフォン・タブレットが内蔵しているリチウムイオン電池は、バッテリ残量100%の状態が続くと劣化して、バッテリを使用できる時間が短くなるなど、本来の性能を発揮することができなくなります。
カバーをつけたままで本体が過熱しているときに充電しない・カバーをつけない
リチウムイオン電池の周囲の温度が45℃に迫るような状況で充電を行うことは、バッテリを劣化させる原因になります。
またraytrektabは、iOS・Androidのスマートフォン・タブレットとは違い伝統的なパソコンなので、発熱量はiOS・Androidのスマートフォン・タブレットよりも多く、連続して処理を行うと容易に背面が熱をもちます。
raytrektabの金属製の背面板は、パソコンの動作によって発生した熱を逃がすための放熱板としての役割もあるため、この部分をケースで覆ったまま使用すると、バッテリの温度が上昇して劣化に繋がる恐れがあります。
背面板を完全に覆ってしまう放熱を妨げるケースの使用は、リチウムイオン電池の特性を考慮すると、あまり好ましくありません。
長期間使わないときはバッテリ残量を50%程度にしてから [シャットダウン] する
リチウムイオン電池は、極めてバッテリ残量が少ない過放電の状態になると、バッテリを充電しても使用できる時間が減ったり、充電できなくなって使用不能になる恐れがあり、バッテリは使用しなくても自己放電によって残量が減るため、元々バッテリ残量が少ない状態で長期間放置することは避けなければなりません。
しかし、だからといって100%まで満充電したままで保管することも、前述の通り劣化に繋がってしまうため行うべきではありません。
リチウムイオン電池を保管する際は、一般的にバッテリ残量50%程度での保管が推奨されています。時々残量が減っていないか確認して、減っている場合は残量50%程度まで充電してください。
長期間使わずに保管していたときは、バッテリ残量を信用せず、満充電してから使う
通常、バッテリは使用せずとも自然に放電して充電残量がなくなってゆくため、場合によっては、表示されるバッテリ残量と、実際にバッテリから物理的に取り出せる電気の量に食い違いが起こることがあり、「表示ではバッテリ残量が残っているのに、実際に使ってみるとバッテリが全然保たない」などの異常に遭遇することがあります。
使用しなかった期間が長ければ長いほど、このような異常が起こりやすくなるため、数ヶ月単位で長期間使用しなかったときは、バッテリを100%近くまで充電してから使用するようにすると良いでしょう。
当方のraytrektab(DG-D08IWP)の場合
バッテリ残量をうろ覚えですが60~70%程度にしてから約6ヶ月保管し、久しぶりに起動した時のことです。
Windowsは6ヶ月前と同じようなバッテリ残量値を表示しているものの、バッテリ情報モニタソフトが表示するバッテリ電圧は異常に低く(3.4~3.5V)、その電圧から推定できるおおよそのバッテリ残量は恐らく10%にも満たないことがありました(事前にバッテリ残量おおよそ10%刻みのバッテリ電圧を記録しており、それとの比較による)。この状態から充電を開始したところ、バッテリ残量表示はどんどん減ってゆき、1~2時間程してからようやく残量が上昇に転じました。
そのままバッテリを満充電し、画面を表示させたまま放置してバッテリ残量7%(自動的に休止状態へ移行する残量値)まで放電させて自動的に休止状態へ移行させ、その後バッテリ残量7%までの放電に要した時間を Powercfg /BatteryReport コマンドで確認したところ、3時間54分かかっていたことから、当方のDG-D08IWPのバッテリそのものは未だにある程度の性能を維持しているようですので(DG-D08IWPの公称バッテリ駆動時間は4時間)、根本的にDG-D08IWPのバッテリ管理があまり賢くないのかもしれません。
何か動作がおかしいときは [再起動] する
Windows10では、シャットダウンをしても一部の動作状態が保存されており、次にWindowsを起動するときに起動時間が短くなるような工夫がされていますが、これが時に動作の異常を引き起こすことがあるため、動作がおかしくなったときは [シャットダウン] ではなく、完全にWindowsを終了したあとに最初から起動し直す [再起動] をしましょう。
Windows 10でパソコンを再起動する方法
faq.nec-lavie.jp
再起動しても動作の異常が収まらないときは、異常があるソフトやデータを、正規の手順に従ってインストールし直す
再起動しても収まらない動作の異常は、Windowsや各種ソフトの設定・ファイル群に問題が発生している可能性があるため、まずは異常があるソフトやデータを正規の手順に従ってアンインストールしてから、改めてインストールし直してください。
ソフトによっては、SAI2のように手動操作で設定ファイルを削除しなければならないものもあるため、アンインストール作業は、その方法・手順をよく調べてから実施してください。
また、セキュリティソフトの監視対象から除外できているか設定も確認しましょう。
ソフトやデータをインストールし直しても異常が収まらないときは、Windowsを初期状態に戻す
再起動、ソフトやデータの再インストールなどを行っても異常が収まらない場合は、運悪くWindows自体の設定・ファイル群が壊れてしまっている可能性があるため、Windowsを初期状態に戻し、きちんと手順を確認しながらやり直してください。
完全に初期状態に戻すと、またソフトを設定し直さなければならないため、正直非常に面倒ですが、これを行わないと、問題がソフト的なものなのか、ハード的(機械的)なものなのか特定することができないため、頑張りましょう。
面倒を我慢できない人や、初期化・再設定に要する時間の損失が致命的な問題になる人は、壊れる前にマメにストレージ全体のバックアップを取って、異常が起きる前の状態に復元できるように備えたり、あらかじめ他に作業手段を用意することも検討してください。
あとがき
raytrektabは、一見するとiOS・Androidのタブレット端末と同じもののように見えますが、その中身はWindowsパソコンそのものなので、使用のコツや問題は一般的なパソコンと共通しています。
そのため、iOS・Androidのスマートフォン・タブレットの感覚で使おうとすると、なんだか動きがトロくさかったり、うまく動かないと思うことがあるかもしれませんが、コツさえおさえれば問題なく使用できるので、疑問があればWebやTwitterで検索するなどして根気よく付き合ってあげてください。
そもそも動くはずがないソフトウェア(動作要件を満たしていなかったり、ソフトウェア自体に不具合があるなど)を動かそうとしていたり、パソコンが機械的に壊れているのでなければ、パソコンの日常的な不調は、Windowsを完全に初期状態に戻してから正しい手順でやり直すことによって解決します。
Windowsを初期化しても収まらない異常動作は、ハード的な不具合が原因の可能性があるため、そのときはすぐにメーカへ問い合わせて修理・交換を依頼しましょう。
raytrektab DG-D08IWP 内蔵液晶パネル カラープロファイル(2017年8月購入個体作成)
X-Rite ColorMunki Display同梱測定器などを使用してraytrektab内蔵液晶画面のソフトウェア・キャリブレーション(ディスプレイの発色の測定と調整)を行い、画面の色を改善するICCプロファイル(カラープロファイル)を作成したので公開します。
本カラープロファイルを使用することで、raytrektabの初期状態では緑がかった内蔵液晶パネルの発色を正しい色に改善できる可能性があります。
手っ取り早くカラープロファイルをダウンロードしたい方はこちら
- raytrektab内蔵液晶パネルの発色について
- 本カラープロファイルの作成に使用したraytrektab
- 本カラープロファイルを使用できる可能性があるraytrektabの条件
- 本カラープロファイル作成時の環境・設定
- 本カラープロファイルを使用する際の注意
- 免責
- 本カラープロファイルの使用方法
- 本カラープロファイルの応用
- raytrektab以外の液晶パネルやディスプレイ装置の表示ついて
- あとがき
raytrektab内蔵液晶パネルの発色について
図 raytrektab内蔵液晶パネル色域とsRGB色域の比較(ColorACにて作図)
白線: raytrektab内蔵液晶パネルで表示できるsRGB色域部分
黒線: sRGBで規定されている色域
水色線: raytrektab内蔵液晶パネルで表示できる色域
raytrektabは低価格を実現するためか、イラスト制作用としてはお世辞にも高性能とは言えない液晶パネルを内蔵しており、その発色には癖があります。
色域の狭さ
raytrektab内蔵液晶パネルに表示できる色の範囲(色域)は、sRGB(PCやその周辺機器で色を扱う際に一般的に用いられる標準規格)で規定されている色域よりも狭いため、sRGBカバー率9割以上の液晶ディスプレイとraytrektab内蔵液晶パネル双方に、sRGB色域の端の方の色(濃く鮮やかな色)を使った同じカラー画像を表示して比べると、raytrektab内蔵液晶パネルの表示は色の鮮やかさに欠ける(彩度が低い)表示になります。
RGB3原色のカラーバランス崩れ
赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色のカラーバランスについても、キャリブレーションを行っていない状態では緑(G)のみが突出して強く表示されているために画面の色が緑がかっていることが多いようで、そのままキャリブレーションを行わずにイラストの彩色作業などをしてしまうと、カラーバランスが良好なディスプレイ装置でその作品を表示した際に、制作時の意図からずれた色で表示される恐れがあります。
幸いにも、Windows10にはディスプレイの発色を目視で調整する機能が標準で備わっているため、この機能を使用してraytrektab内蔵液晶パネルのRGB3色のバランスをうまく調整できれば、カラーバランスの問題はある程度改善することができます。しかし目視調整では、調整の基準とする色の見本を用意しなければならず、調整の細かさにも問題があるため、正確な調整は困難です。
正確な発色を求める場合は、キャリブレーションツール製品の測定器を使用して液晶パネルの発色を機械的に測定し、自動で発色の調整を行わせる必要があります。今回公開するカラープロファイルはこの方法で作成されています。
キャリブレーションを行っても、raytrektab内蔵液晶パネルの色域の狭さ(濃く鮮やかな色を表示できない問題)を解決することはできませんが、RGB3原色のカラーバランスについては、本カラープロファイルを適用することで、カラーバランスを整え、sRGBで採用されている色温度6500K ガンマ値2.2 に調整し、色被りを極力無くした表示に改善できる可能性があるため、raytrektabで扱えるsRGB色域75.2%内の色で彩色したり、モノクロ画像を扱う際の違和感はだいぶ改善できると思います。
本カラープロファイルの作成に使用したraytrektab
- 2017年8月 関東のドスパラ店頭にて購入
- キャリブレーションを行っていない状態では、内蔵液晶パネルの発色が緑がかっている
- 購入当時キャンペーンプレゼントだったアンチグレア保護フィルムを貼付した状態でキャリブレーションを実施した
「Diginnos Tablet DG-D08IWシリーズ対応 アンチグレア液晶保護フィルム」
本カラープロファイルを使用できる可能性があるraytrektabの条件
- 本カラープロファイルの作成に使用したraytrektabと同時期(2017年8月)に販売されていた(これは必須条件ではなく、製造・販売時期が異なっていても同一特性の液晶パネルを搭載しているのならば問題ないため、販売時期はあくまで目安です)
- キャリブレーションを行っていない状態では、内蔵液晶パネルの発色が緑がかっている(これは必須条件です)
本カラープロファイル作成時の環境・設定
- OS: Windows10 Ver.1709
- 測定器: X-Rite ColorMunki Display 同梱センサ(2018年1月新品購入品)
- 測定アプリケーション: DisplayCAL 3.4 + ArgyllCMS 2.0.0
- 目標色温度・ガンマ値: 色温度6500K ガンマ2.2
- バックライト輝度: Windows10のアクションセンターの明るさ表示で「50%」または「おすすめ」相当 151.28cd/㎡
本カラープロファイルを使用する際の注意
コンピュータのディスプレイは、液晶パネルを内蔵している製品が同じものでも、液晶パネルの製造メーカ・製造時期・個体・経年変化によって発色に差があることが一般的によくあります。
そのため、正しい発色や、別個体または異なる液晶パネル同士で極力同一の表示を求める場合には、本来はキャリブレーションツールを使用して個々の液晶パネルごとにキャリブレーションを行って、その液晶パネル専用の補正値を含んだカラープロファイルを作成する必要があります。
ただ、液晶パネルの製造メーカ・製造時期が近い場合は、発色の傾向がほぼ同様の場合があります。このような場合には、異なる個体間でもカラープロファイルを流用できる可能性があるため、本カラープロファイルを使用することで、お持ちのraytrektab内蔵液晶パネルの表示を改善できる可能性があります。
なお、本カラープロファイルの作成に使用したraytrektabとは異なる発色の傾向を持つ液晶パネルを内蔵するraytrektabに本カラープロファイルを使用した場合は、異常な発色になる可能性がありますので、明らかに発色がおかしくなった場合は、本カラープロファイルの使用を中止してください。本カラープロファイルをWindowsの [色の管理] から削除してWindowsを再起動すれば元の発色に戻ります。
免責
ここまで述べてきたように、本カラープロファイルは、あくまで本カラープロファイルを作成した個体の内蔵液晶パネルの発色を調整するための情報と、発色の特性の情報が記録されたものであるため、すべてのraytrektabで支障なく使用できるとは限りません。
厳密に正しい発色を求める場合は、本来ならば個々の液晶パネルごとに、測定器を用いた定期的なキャリブレーションを行う必要があることをご理解ください。
本カラープロファイルを使用した結果発生した何らかの損失・損害については、誰も責任を負いませんので、本カラープロファイルを使用した人の責任において対処してください。
本カラープロファイルの使用方法
- 下記URLからカラープロファイルをデスクトップなど判りやすい場所にダウンロードします。
http://firestorage.com/download/38a01a213de0d9b9b2ac8065488f602d46d8ace6
ファイル名「raytrektab DG-D08IWP HYV080 #1 2018-02-06 20-35 D6500 2.2 F-S XYZLUT+MTX.icm」 - [コントロール パネル] の [色の管理] を開き、その中の [デバイス] タブを開きます。
- [デバイス(D):] が [ディスプレイ:]某 となっているものを開いて、[このデバイスに自分の設定を使用する(U)] チェックボックスをチェックし、[追加(A)] ボタンを押して [カラー プロファイルの関連付け] ダイアログボックスを開きます。
- [参照(B)] ボタンを押して [プロファイルのインストール] ダイアログボックスが開いたら 、手順1でダウンロードしたカラープロファイルのファイルを選択して [追加] ボタンを押します。
- [このデバイスに関連付けられたプロファイル(F):] の一覧に手順4で選択・追加したカラープロファイルが追加され、他のカラープロファイルが設定されていないことを確認できればカラープロファイルの設定は完了です。もし、他のカラープロファイルが一覧に表示されている場合は、手順4で選択・追加したカラープロファイルを選択して [既定のプロファイルに設定(S)] ボタンを押します。
図 カラープロファイル設定完了後
最終的に下記画像のようになれば、カラープロファイルの設定は完了です。
本カラープロファイルの応用
本カラープロファイルは、raytrektab実機内蔵液晶パネルの測定を行って作成しており実機液晶パネルの特性に関する情報が含まれています。そのため、本カラープロファイルをPhotoshopやGIMPなどのカラーマネジメント対応アプリケーションにおいて『色の校正』や『プロファイル変換』(Photoshop)などの機能で使用すると、本カラープロファイルを作成したraytrektab内蔵液晶パネルでの画像の見た目を再現できるようになります。
「raytrektabだけで彩色作業を行った作品を他の表示環境で表示させたら、発色が過度に鮮やかなものになってしまい、彩色作業時の意図とは異なってしまった」などといった際に、『色の校正』や『プロファイル変換』相当の機能で本カラープロファイルを利用すると、本カラープロファイルを作成したraytrektab内蔵液晶パネルでの見た目を再現したRGB値に作品のRGB値を自動で修正することができます。詳しくは「カラーマネジメント プロファイル変換」などのキーワードに関連するWebページをご覧ください。
raytrektab以外の液晶パネルやディスプレイ装置の表示ついて
参考までに、他の液晶パネルやディスプレイ装置のsRGBカバー率と未調整時の強いカラーバランス崩れの有無を以下に示します。
前述の通り、sRGBカバー率が低い液晶パネルにおいて見た目そのままで彩色作業を行ったデータを、sRGBカバー率が100%に近く、きちんとキャリブレーションされた環境で表示した場合は、だいたいは彩色作業時に見ていた色より彩度が高い見た目になります。
機種・型番・価格帯 |
パネル |
sRGBカバー率 |
カラーバランス崩れ |
raytrektab DG-D08IWP 18年現行 実売5万円程度 |
明記無 IPS? |
75.2% |
緑が強い |
DG-D08IW2 16年当時 実売2万円程度 |
明記無 IPS? |
78.1% |
青が強い |
18年現行 実売7万5千円程度 |
IPS |
99.9% |
特になし |
EX-LD2381D DVI入力 18年現行 実売1万4千円程度 |
ADS |
97.5% |
特になし |
EX-LD2071T HDMI入力 18年現行 実売1万1千円程度 |
明記無 TN? |
98.0% |
赤と緑が強いため黄色かぶり |
法人向けノートPC HP ProBook 430 G3 15年当時 実売5万円程度 Panasonic CF-W7C 08年当時 実売20万円程度 |
明記無 TN? |
50%程度 |
ProBook 青が強い |
表 raytrektabと他の液晶パネルやディスプレイ装置のsRGBカバー率・未調整時の強いカラーバランス崩れの有無。情報の出典はiPad・iPhone以外実測。iPhone8は実機目視確認。
iPad Pro・iPhone8情報の出典
あとがき
Twitterでraytrektabの内蔵液晶パネルの発色について苦言を呈しておられる方を時々見かけ、自分自身でも、キャリブレーションを行っていない状態のraytrektab内蔵液晶パネルの発色には、ラフなど気軽なお絵かき用のタブレットPCだとしても少々問題があると感じていたため、せめて自分のraytrektabと液晶パネルの特性が近い同機種をお持ちの方のお役に立てればと思い、本記事ならびに本カラープロファイルを公開しました。
raytrektab DG-D08IWPは、価格より性能が優先されるような高級機ではなく、価格をできるだけ抑えて様々な人の手が届くようにすることで、「どこでも画面に直接絵をかける」という体験を、誰にでも提供できるようにした製品と理解していますので、低価格化の結果としてハードウェアの性能が制限されてしまうことは仕方が無いことだと考えています。高性能な部品は高価ですから。
また、身も蓋もない言い方になりますが、そもそもコンピュータのディスプレイ装置は、量販店などで複数のディスプレイ装置に同じRGB値を持つ画像を表示して比べると判るように、工場出荷時の状態では製品や製造ロットによってカラーバランス・色域がまちまちです。
製品仕様で色域のカバー率と色の再現性に優れていることを謳うデザイン作業用のディスプレイ装置を備え、きちんと継続的にキャリブレーションを行った環境以外では、sRGB準拠の表示すら実現できていない可能性があります。
全ての人が広色域でカラーバランスが正確な高性能ディスプレイ装置を備えた端末を持ち、継続的にキャリブレーションを実施できているわけがありませんので、異なるディスプレイ装置間での色の再現性は、raytrektabでなくともどのみちどこかで妥協が必要です。
静止画像を扱う上でのraytrektab内蔵液晶パネルの出荷時状態の欠点は、色域の狭さとカラーバランスの崩れです。このうちカラーバランスはキャリブレーションでだいぶ改善されるため、色相が微妙にずれた色で彩色してしまうようなことは無くなると思います。
色域の狭さ(濃く鮮やかな色を表示できない問題)は根本的には解決できませんが、色が薄く淡い(彩度が低い)作風ならば、『プロファイルの変換』を行えば他の(sRGBに準拠した)ディスプレイ装置でも意図したとおりの色をほぼ再現できるため、色域の狭さはあまり気にならないかもしれません。
以上のことから、raytrektab内蔵液晶パネルは欠点があるものの、内蔵液晶パネルのカラープロファイルがあれば、使い方と作風次第でカラーでも実用は可能だと考えています。
ドスパラのraytrekブランドはクリエイター向けのPCブランドとして売り込んでいるようですし、「raytrektabをドスパラ店頭に持ち込むと内蔵液晶パネルのソフトウェア・キャリブレーションを行い、カラープロファイルを作成してくれる」などといったサポートサービスがあってもいいのではないかと思います。今後そのようなサービスが提供されることを期待しています。