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Core i7-4790K を壊した話と、PSO2NGSプレイ中のPCの電気代の話

目次

CPU

 なんとかモアパワーが欲しくて、無駄と知りつつも TurboBoost 倍率を全コア47倍にしてストレステスト(OCCT データサイズ小 AVX2)を回していたら、サーマルスロットリングがかかったところでクラッシュしてしまった。

 その後は、例えば10回電源を入れたら1回くらいは普通に起動できるかなという状態になってしまい、残り9回は POST も出ないような有様になった。

 オーバークロックで CPU を壊すというと、なんとなく印象としては、サーマルスロットリングに当てっぱなしの状態を長時間継続したり、コア電圧設定を誤ったときに起きるのではないかという認識だったため、今回のように、サーマルスロットリングに当たって間もないうちにクラッシュして不可逆な損傷を負うということは、あまり考えていなかった。

 しかもこの CPU は完全に故障しているのではなく、何度か起動を試みるとたまに正常に起動できて、起動さえできれば定格で軽めのストレステスト(CPU-Z)すらも通るという面白い壊れ方をしており、一体内部はどのような状態になっているのか興味深い。

 クラッシュ当時は、コア電圧設定は自動のまま、TurboBoost 倍率、PL1/2 limit、PL1 timeなどを変更して試していたため、コア電圧が上がりすぎたか、製造から8年が経過する老体の4790Kには、サーマルスロットリングがかかる温度は一瞬でも厳しい条件だったのかもしれない。

 なお、この通り CPU が壊れたマシンは、即日部品を注文して Core i5-12400F 一式へ換装した。

 i7-4790K と i5-12400F では、ベンチスコア上では2倍の性能差があり、同時にシステムドライブを SATA HDD(最速 100MB/s 程度) から M.2 NVMe SSD(最速 2,300MB/s 程度) へ換装したが、元の構成でもメモリは十分量搭載しておりキャッシュが効いていたためか、Web閲覧・オフィスソフト・ファイル操作程度の日常作業ではあまり性能向上を体感できない。

 はっきりと効果を実感できたのは、PSO2NGSでGPU(GTX1060)を使用率 100% まで使い切れるようになり、最高fpsが従来の40fps程度から、現在は最高70fpsまで出るようになったことだが、このマシンで最高出力を発揮させると消費電力が270W程度になってしまい電気代がかさむため、結局ゲーム側で30fpsに絞って180W程度での運用のままとなっている。このマシンは、その後さらにGPUをRTX3060へ換装した。

電気代

 21年秋頃から続く化石燃料の高騰による電気料金の値上がりが、ここにきて燃料費調整単価に反映されてきており、21年4月は -4.32円/kWhだったが、22年4月分は 2.27円/kWh という高値になっている。また、再生可能エネルギー発電促進賦課金も上昇しており、21年4月 2.98円/kWh、22年4月 3.36円/kWhとなっている。

 これらの値上がりは、当方の平均的な月間消費電力量 460.8kWh を元にすると、1ヶ月あたり 3,532円 の値上がりとなる。

 さて、家庭内の大電力機器といえば、エアコン(300~500W)、ドライヤー(1200W)、電子レンジ(1000W)、トースター(1000W)、IHクッキングヒーター(1200W)、炊飯器(350W)などといったモータや電熱線を使う機器が思い浮かぶが、比較的スペックの高いPCが盛んに計算を行っている最中の消費電力もそれなりに大きく、ピーク時には出力を絞っているエアコンや、炊飯中の炊飯器並の消費電力を発生させる。

 特にCPU・GPU共に使用率が高くなるオンラインゲームは、ついログインしたまま放置しがちであり、高消費電力で長時間放置して無駄な電力消費が発生しやすいため、電気代を抑制するためにはfps制限を行うなどして定常的な消費電力の抑制が欠かせない。

 ここでは、PSO2NGSにおいて、描画フレームレート(fps)を30fps制限、60fps制限、無制限とした際のCPU・GPU使用率、PCの消費電力を計測し、それを元にfps制限毎の電気代を試算してみる。

オンラインゲーム中のPCの電気代一例

計測・試算条件

プレイ時間 3時間/日、30日間

電力量料金 東京電力エナジーパートナー 従量電灯B 第2段階料金 26.48円/kWh

基本料金、消費税は含まない

消費電力計 ELPA EC-05EB

 PSO2NGS のセントラルシティとリテムシティで、マイショップ周辺のプレイヤーが密集している辺りにて計測を実施した。

PC環境

マザーボード

ASUS PRIME B660M-A D4

CPU

Core i5-12400F

メモリ

DDR4-3200 32GB(16GB×2)

GPU1

GeForce RTX3060(GIGABYTE GV-N3060EAGLE OC-12GD R2.0)

GPU2

GeForce GT 710(MSI GT710 1GD3H LPV1)

ストレージ

M.2 SSD x1、HDD x3

電源

Antec NE650C

fps、CPU・GPU使用率

計測場所

fps制限

CPU使用率

GPU使用率

消費電力

セントラル

30fps

27%

39%

173W

セントラル

60fps

50%

57%

263W

セントラル

無制限 100fps

87%

94%

350W

リテム

30fps

26%

42%

234W

リテム

60fps

49%

70%

283W

リテム

無制限 87fps

74%

99%

347W

電気代

消費電力

消費電力量

月間電気代

2021年4月の場合

再エネ 2.98円

燃料費 -4.32円/kWh

月間電気代

2022年4月の場合

再エネ 3.36円

燃料費 2.27円/kWh

30fps制限 204W

18.36kWh

461.58円

589.54円

60fps制限 273W

24.57kWh

617.69円

788.95円

fps無制限 349W

31.41kWh

789.65円

1008.58円

総評

 以上のように30fpsに制限を行った場合と、fps制限を行わなかった場合では、電気代が1.7倍異なっている。

 このマシンは性能的にはミドルレンジのため、最大消費電力はそれほど大きくならないが、これがよりハイエンドなマシンで常時120fps以上を発揮する場合は、消費電力がさらに増加するため、低fps制限時とfps無制限時の電気代の差はさらに開くこととなるだろう。

 PCには目に見える可動部分がほとんど存在しないため、実際に消費電力を計測しなければ、比較的大電力を消費する機器であることに気づきにくいが、ハイスペックなマシンほど、消費電力・電気代に無自覚に野放図な運用を続ければ予想外の電気代を請求されかねないため、本当に必要な処理能力を必要なときに発揮するような設定を忘れずに行いたい。

余談

 PCの消費電力は、CPU・GPUの使用率 100% でも処理内容によって変化する。このマシンは、上記の通りPSO2NGSの過密シティ内でのCPU・GPU使用率100%時には最高 350W 程度までしか上がらないが、OCCTの電源テスト(CPU・GPU同時に非常に重い負荷をかけるテスト)の場合は、同じ使用率 100% でも最高 444W 程度まで上がる。